悪魔城ドラキュラX
−月下の夜想曲−



土星にも悪魔城

プレイステーション(PS)にて発売され、好評だった『月下の夜想曲』のセガサターン(SS)移植版。

当時はPSとSSが家庭用ゲーム業界の2強であったこともあり、この両方のハードで発売されるゲームというものが非常に多かった。
そして今作もその例に漏れず、PSで発売された翌年にSSへと移植されたのである。

当時はPSとSSの両方で発売されたソフトの場合、基本的に後発の方が追加要素やオマケなどが充実しているという傾向が強かったこともあり、今作もPS版に数多くの追加要素を盛り込んで発売されることとなった。

発売前の告知では、PS版にはない新ステージの追加とプレイヤーキャラとしてマリアの追加、そして特にファンからの要望が多かった三大名曲の追加が発表され、PS版を補完するという意味合いでも、PS版を遊び尽くしたファンの多くが非常に期待して発売を待ち望んだのである。

…が、いざ発売されてみると、雑誌などに紹介されていた画面写真だけでは気づくことのできなかった、PS版との微妙でありながらも致命的な違いがプレイを進めていくごとにジワジワと判明していき、発売直前に定価が¥3800に引き下げられた理由を多くのプレイヤーが身をもって実感することになったのである。そのあたりは後述。

でも管理人は個人的にコッチの方が好きだったりする罠。

ちなみに今作の開発はPS版『月下の夜想曲』を手がけたKCE東京ではなく、なんとあの「迷作」と名高い『漆黒たる前奏曲』を開発・発売したKCE名古屋が担当。
そのため、当然だがIGA氏はもちろん、PS版のプロデューサーである萩原氏やサウンド担当の山根ミチルおば…お姉さんも開発には一切参加していない。

余談だが、今作SS版『月下の夜想曲』のCD-ROMには、パソコンで閲覧することのできるテキストデータが収録されており、KCE名古屋開発スタッフの寄せ書きが読めるようになっている。
ゲームの移植度はともかく、誰がどこのどんな部分を担当したのか、PS版とどこが違うのかなどの興味深い内容が収録されているので、パソコンを所持している方は是非一度読んでみることをオススメ。

現在はかなり入手困難。SSソフトを中古で扱ってる店自体はまだまだ残ってはいるものの、今作は開発陣も自信がなかったせいなのかどうかは分からないが、出荷数が非常に少ないらしく、さらには管理人のようにコアなファンがなかなか手放さないという理由などにより、中古では殆ど出回っていない。
もし見付かったとしても、中古なのに定価と同額程度か、あるいはそれ以上の値をつけているところが殆どである。ただ、前述したように定価自体が¥3800と低めに設定されているので、PCEの『血の輪廻』やMDの『バンパイアキラー』ほどのプレミア価格はつけられていない模様。
PS版『月下の夜想曲』が好きだったという人なら、追加要素目当てで買ってみても損はないと思われる。


恐怖せよ、これがKCE名古屋の実力だ

PS版『月下の夜想曲』と言えば、シリーズ最高傑作とも言われるほどに美しいグラフィックが有名である。
もともとPSはポリゴングラフィックの処理に特化したハードであり、そのためスプライト処理機能は一切搭載していないので、2Dドット絵のゲームを表現するためには多大な努力と技術を必要とするハードだったのだが、それとは対照的にSSはスプライト処理に特化したハードであったため、2Dドット絵のゲームに関してはむしろSSの方に分があったと言える。
そのため、当時全盛期だったアーケード2D格闘ゲームの多くがSSにて移植され、多くのヒット作を飛ばしていた。

そんなハード性能の違いもあり、それなら『月下の夜想曲』はPSであれだけ美しい2Dドット絵を表現していたのだから、当然の如くSSにもPS版に劣ることなく再現移植されるだろう、と多くのファンは推測していた。

…だが、前述したようにファンの淡い期待は見事に砕かれることになる。

まず、肝心の2Dグラフィック。
そもそもPSとSSでは画面の解像度に違いがあり、両ハードで発売された他の2Dゲームの画面を見比べてみればわかりやすいのだが、SSの方が若干横に広くなっている。
そのため、ドット絵の比率も両ハード全く同じというわけにはいかないので、PS→SSまたはSS→PSと移植される際には、まずここを調整しなくてはならないのである。

ところが、今作のSS版『月下の夜想曲』はPS版グラフィックのドット比率を調整することなくそのまんまSSへと移してしまったらしく、そのせいでやけにドットが粗いグラフィックになってしまっている。

それに加え、新ステージと追加された敵キャラに関しては、さすが『漆黒たる前奏曲』のKCE名古屋だと言わざるを得ない程にセンスの感じられないものばかりで、明らかに『月下の夜想曲』の世界観とズレた感じの「余計なお世話」的な追加要素となってしまった。落ち武者スケルトンとかホント勘弁して。

さらには半透明処理の仕様が違うせいでSS版は半透明処理がほとんど(全く?)使われておらず、おまけにSS独自の発色の悪い色味によってグラフィックの質はPS版より遥かに低下することになり、特に「こうきどうほねばしら」が吐いてくる炸裂弾のグラフィックなどは目を覆いたくなる程に悲惨なことになってしまった。

しかし、これは単に開発者が手を抜いたというだけではなく、PS版『月下の夜想曲』は「極小のポリゴンを擬似的に2Dドット絵として処理する」というPS独自のグラフィック処理技術を上手く利用してポリゴングラフィックと2Dドット絵の融合を巧みに表現した作品だったことが原因でもある。
SSはスプライト処理が得意な反面、PSのようにポリゴンをメインとしたグラフィック処理は苦手だった。そのため、PS特有の技術を駆使したPS版『月下の夜想曲』のグラフィックをSSで完璧に再現することなど、そもそも不可能だったのである。

…なので、この点ではあまりKCE名古屋をイジメないようにしてあげて。
もう存在してないけど。


再臨・三大名曲

PS版『月下の夜想曲』では数多くの名曲が誕生したが、代わりに過去作品からのアレンジ楽曲がほぼ皆無であり、その上サウンドテスト機能すら搭載されていなかったせいで、特に楽曲を期待していたファンから多くの不満がコナミに届けられたらしく、今作では2つの新曲とシリーズの伝統である三大名曲のリミックスが収録されることになり、さらにはサウンドテストもしっかり用意されることになった。

しかし先に述べたとおり、今作はPS版の開発スタッフが一切介入していないため、PS版の楽曲を担当したチルチル山根こと山根ミチルによる新曲は一切ナシ。
追加された新曲は全てKCE名古屋開発スタッフによるものである。しかも複数の開発者が一人2曲程度の割合で分担して作曲しており、そのせいか追加楽曲はバリエーションに富んだ名曲揃いとなっているのは嬉しい限り。

特に三大名曲のアレンジは『月下の夜想曲』の世界観から見ると少々ビミョーな感じこそするものの、単純にアレンジとしてはどれも素晴らしい出来で、これまでの慣例に捕らわれない吹っ切れた感の漂う思い切ったアレンジが心地良い名曲に仕上がっている。

さらに、完全なる新曲として追加された2曲も素晴らしい名曲であり、中でも『Guardian』はどこぞの某大作RPGのラスボス戦で流れてきそうなくらい荘厳で迫力ある名曲である。

また、PSとSSは音源が違うこともあり、PSでは曲のループ時に読み込みが入るせいで一瞬曲の途切れる部分があったのだが、SS版にはそのような不自然なループ処理はなく、むしろ一部の曲にはループ部分に格好良くアレンジを加えていたり、PS版サントラで唯一未収録だった爺のテーマがアレンジされていたりと、小粋で憎い演出が光る。

しかし、全体的にCD読み込み速度がPS版より遅い上に、長いステージでは途中にもCD読み込みの入る箇所があり、そのせいで曲が途切れてしまう場面があるのは残念。

そして、本作もKCE名古屋が手掛けた作品だからなのかどうか分からないが、あの『漆黒たる前奏曲』に続き、今作のサントラも一切存在していない。
もともとPS版の移植作だし、ゲーム内にサウンドテストも搭載されているのだから仕方ないと言えば仕方ないのかもしれないが、せめて追加曲だけでもいいからサントラ化して欲しいというのが、今作をプレイした人なら誰しもが抱く感情ではないだろうか。

サウンドテストは長時間流してると、すぐに本体がダウンして音飛びばっかり発生するし。
…え?ウチのSSだけ?


さらば、ずっこけスライディング

『月下の夜想曲』と言えば、アクションRPGへの転換により、シリーズの伝統だった「凶悪難易度」とは比べ物にならない程の難易度ダウンで有名。

なので、PS版の移植である本作も当たり前だが難易度は低いまま。
追加された新ステージは、他のステージよりは若干難易度を調整してあるような気はするが、やはり旧作をプレイしてきたファンなら簡単に突破できる程度。

ただ、PS版でも存在した「リヒターモード」はレベルアップの概念がなく、結構後半は厳しい戦いを強いられることになるのだが、今作はそれに加えてPS版では使用不可能だったマリアをプレイヤーキャラとして使用できるモードが追加されている。

マリアと言えば、有名な『血の輪廻』における悪魔城内縦横無尽自由奔放爽快大虐殺で有名。
そのマリアがたった5年で竜宮城にでも行ったのかと思わせる程の大変貌を遂げて、再びプレイヤーキャラに復活。多くのファンは期待と不安を胸に恐る恐るマリアを使用したのではないだろうか。

結果から言うと、もはや『血の輪廻』でのマリアの面影は微塵もなく、むしろ三段ジャンプや四聖獣降臨による無敵モードや手からヨガインフェルノなどなど、以前の『血の輪廻』以上に別の意味で完全に浮いた存在となってしまった。
また、この「マリアモード」もリヒターと同じように城内を好き勝手に走り回ってシャフトを倒したら終わり…という、あくまでもオマケの範疇を出ていない内容で、イマイチ面白みに欠けるのも痛かった。

ついでに言うと、リヒターには小島文美イラストの服装をした新グラフィックが用意されているが、これまた新ステージや追加敵キャラ同様、あまりにも痛々しく浮いたグラフィックなので注意。


個人的感想と思ひ出

PS版は発売日に買ったものの、三大名曲が存在しないことに激しくガッカリし、学校のパソコンからコナミに不満メールを何回か送ったことがある身としては、同じような意見を持つファンがやはり多かったことと、そしてそれにコナミが応えてくれたことが単純に嬉しかったのよねー。

今のコナミぢゃ確実にシカッティングだろうけど。

ゲーム自体はグラフィックと読み込みに難があるものの、やはり楽曲の良さがダントツでポイント高い。
まだ今作での追加曲を聴いたことがないというファンには、是非ともプレイしてもらいたい。


主要登場人物

アルカード
言わずもがなの主人公。
今回は母の愛用していた槍を新たに入手。その名称と形状から、ますます後代の『バンパイアキラー』に登場する某槍使いとの関係が色々と憶測されることになった。
父親と二度目の喧嘩を終えて、今度こそ誰にも邪魔されずにゆっくり寝ようと思ってたのに、なんか城内で出会った娘が追いかけてきてゴチャゴチャうるさいので、ついカッとなってこの娘に槍を突き刺して逃亡。その後は髪を黒く染めて日本に潜伏中という説が有力。

マリア・ラーネッド
ついに、あの『血の輪廻』から5年後の実力が明らかになるが、波動拳を連射したり沙羅曼蛇のボスを召喚したりと、もはや完全に人間を超越した存在となってしまい、12歳マリアに「萌え〜」だったファンの多くが「萎え〜」てしまったと言われている。

リヒター・ベルモンド
PS版ではクリーニング屋から返却されずに間に合わなかった小島文美デザインの服を装備しての登場。
しかしクリーニング屋が気合い入れ過ぎてクリーニングした結果、明らかに周りよりも浮いた色合いでボソボソした手触りと見た目になってしまい、結果的にファンからの失笑を招く結果となってしまった。
現在、名誉棄損と器物破損でクリーニング屋と法廷で激しく裁判中。そのせいでドラキュラ退治なんざやってる暇ないので、近々モリス家に鞭を貸し出す予定。

ドラキュラ伯爵
友達は婿養子で嫁と義父には頭が上がらない飲み仲間で同僚の磯野くん。

死神
今回は彼の持っている魔導五器も持っていかないと大時計の封印が解けないため、ちゃんとアルカードが会いに来てくれるので内心ワクワクとドキドキとハラハラが1/3の純情な感情となって戸惑い気味の思春期。

シャフト
今作でも説明書のキャラクター紹介に載せてもらえないことに憤慨し、KCE名古屋に破壊と混乱を導こうとして日食の中に封印した。2035年が楽しみで暗黒の世界へ旅立てないらしい。

リサ
剣と鎧と盾に加え、さらには槍まで自在に使いこなしたと思われる、武闘派過激集団の一員だったアルカードのママ。
そりゃ処刑されるやろ。

図書館の主
前回、戦術指南の詐欺商法が公取にバレて危うく廃業に追い込まれる寸前だったので、今回はメニューから戦術指南を削除している。その代わりと言ってはなんだが、PS版よりもよく喋る。正直ウザい。空気嫁。

半妖精
はいはい。

鼻悪魔
わかったわかった。


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