VAMPIRE KILLER



今度はメガドラキュラ

PCEで『血の輪廻』が発売されることにより、任天堂以外の他ハードでもマルチに展開を始めたドラキュラシリーズだったが、今度はセガのメガドライブにて今作『VAMPIRE KILLER』が発売されることとなった。

これまでのシリーズと違い、タイトルに『悪魔城』や『ドラキュラ』といったキーワードが含まれていないが、ストーリーはれっきとした『悪魔城ドラキュラ』シリーズの続編である。

なぜタイトルがこのようになったかについての詳細は定かではないが、今作の主人公はベルモンド一族ではなくなっていたり、ステージもドラキュラ城だけではなくヨーロッパ各地を巡るというものになっていたり、さらにはやけに深読みできるストーリー設定だったりと、明らかにこれまでのシリーズとの差別化を図ろうとした要素が多く見られることから、恐らくタイトルも変更されたのではないだろうか。

また、当時は今作で悪魔城ドラキュラシリーズが最終作となる予定であり、それゆえのタイトル変更だったという可能性も考えられなくはない。

それはともかく、そんな今作のストーリーは『血の輪廻』よりさらに後の話。
リヒターがドラキュラを倒してから約100年後、例によってドラキュラは復活するが、ベルモンド一族の血を引くキンシー・モリスによって倒され、これによりドラキュラと人間との戦いは終止符を迎え、ドラキュラは永遠の眠りについた筈だった(この戦いは史実として存在しているだけで、実際にこのストーリーを用いたゲームは発売されていない)。
だが、その数年後にドラキュラの姪であるエリザベートが、大量の死者の魂を集めれば再びドラキュラを復活させられると考え、配下であるドロテアと共に第一次世界大戦を引き起こす。
そんな中、20年前にドラキュラを倒したキンシー・モリスの息子であるジョニー・モリスと、恋人をエリザベートによって吸血鬼に変えられ復讐に燃えるエリック・リカードの二人は、エリザベートとドロテアの企みを阻止するべく、それぞれの武器を手に立ち上がる…というもの。
…確かこんな感じだったと思う。記憶は曖昧。

そして今作を最後までプレイすればわかるが、ラストステージにおいてエリザベートからラスボスの変身した姿に至るまでの敵ボスには謎が多く、このことから作品のタイトルが『悪魔城ドラキュラ』ではなかったのかもしれない…という憶測もできる。

…が、実はメガドライブというハード自体が国内よりも海外向けのソフトが多かった傾向からなのか、今作はなぜか説明書に載っているストーリー部分以外は全て英語表記であるため、肝心のED後のストーリー部分については詳細がよくわからないという難点がある。誰か英語ペラペラな人、詳しく解読してください。

それゆえ現在(2006年10月)においても、なぜ聖なる鞭「バンパイアキラー」がベルモンドからモリスという家系に譲渡されているのか、エリックの武器である「アルカードスピア」とは本当に「あの男」の武器だったものなのか、キンシー・モリスによってドラキュラは永遠の眠りについたのではなかったのか?…といった、今作のストーリーにおける根幹となる部分の謎は未解決のままである。

このように、ストーリー部分については謎を多く抱えた作品ではあるが、ソフト自体は当時のメガドラソフトの中でもダントツに高い完成度を誇り、今やシリーズにおいて最大のプレミア作品となっている場合がほとんどである。

現在、このソフトを中古で見かけたとしても、まず定価以下の値段では買えない場合がほとんど。それどころか、大抵の店が定価の倍近い値段をつけているのではないだろうか。
それでも構わないという、ドラキュラ愛に満ちた猛者は是非。


舞台はヨーロッパ全土

これまでのドラキュラシリーズは基本的に「悪魔城+その周辺」がゲームの舞台となっていたのだが、今作ではその範囲が広がり、ステージ1こそ朽ち果てた悪魔城だが、ステージ2からはギリシャ神殿やピサの斜塔、ドイツ鉄鋼工場、ベルサイユ宮殿…と、時代設定に合わせて各ステージもバリエーションに富んだものになっている。

そして今作も最早ドラキュラシリーズの恒例となった、細部まで描き込まれた魂のドット絵と、ゲームを盛り上げる高揚感溢れるBGMは健在。

ステージ1はFC初代ドラキュラのステージ1をさらに朽ち果てた感じにアレンジして、いかにも過去のドラキュラ城という雰囲気を上手く醸し出していたり、ステージ2の海面に映り込んだ景色や、ステージ6の画面を三分割していかにもエリザベートの幻惑迷宮に迷い込んだという感じを上手く表現した演出などには拍手を送りたい。

また、今作には「多関節キャラ」という、今で言うポリゴンを2Dで表現したような、体の各パーツがバラバラに動く巨大なボスキャラが多数登場する。

メガドライブという2Dゲームに強いハードだからこそ可能だったと思われるこのような表現を巧みに用いるあたりが、現状の『なんかどっかのゲームで見たことあるようなシステムばっかり』のイガキュラ新作と比べて、いかに当時のコナミ開発陣は『そのハードの性能を最大限に活かしたゲームを作り出すか』という熱意を抱いてゲームを作っていたかが痛いほど伝わってくる。

個人的には死神のタロットカードを用いたルーレット攻撃がお気に入り。


たたみかけるFM音源サウンド

メガドライブは内蔵音源としてFM音源を使用しており、主にPSGやPCMが用いられた他のハードとは一味違う音質の楽曲を楽しめるのが特徴だった。

よって、今作はシリーズ初のFM音源楽曲が使われることになったわけだが、なんと当時この作品の楽曲を担当したのが、今やドラキュラシリーズの楽曲製作者として最も有名なオバちゃ…もとい最も有名な女性、山根ミチル嬢である。

ちなみに当時はチルチル山根という名称でスタッフに名を連ねていた。余談。

最近の作品ではゲームの映像に合わせて雄大かつ壮大な感じの曲が多い傾向の山根ミチル楽曲だが、今作ではいかにもドラキュラ楽曲といった感じの『REINCARNATED SOUL』や『IRON-BLUE INTENTION』のように、これでもかと音を詰め込みまくった勢いのあるサウンドや、ステージの雰囲気を巧みに表現した『THE SINKING OLD SANTUARY』や『THE PRAYER OF A TRAGIC QUEEN』といったメロディアスな楽曲、そして最終決戦へ向けて一気にボルテージを高める名曲『CALLING FROM HEAVEN』といった具合に、多種多様なオリジナル名曲を大放出である。

そしてちゃんと三大名曲も忘れず用意されているというファン想いの完全仕様。文句ナシ。

この作品のサントラは『血の輪廻』とセットになったものが発売されている。
血の輪廻サントラDISKの方は内蔵音源の楽曲が一切収録されていなかったりと、中途半端な印象が強いものだが、こちらのDISKは二枚組でゲーム中に流れる曲をほぼ完全に網羅しており、オマケでX68kドラキュラのアレンジ曲を数曲収録していたりと、ヒジョーに満足のいくサントラである。
だが、残念なことに肝心のゲーム同様、こちらも現在入手は困難極まりない。


心地よい難易度設定

今作は洋ゲーっぽい雰囲気とは裏腹に、ゲームの難易度自体はドラキュラシリーズとしては低めに設定されている。
だが、特に攻略法など考えなくても初見でアッサリとクリアできてしまうような、最近の腑抜けた悪魔城とは違い、それなりの攻略法は必要とされるものの、慣れてくるとテンポ良く進められるようになる難易度調整は当時のゲーム、特にメガドライブの作品としては秀逸なレベルである。

やはりこのあたりの丁寧かつ見事な作りが現在のプレミア化にも関係しているのだろう。

もちろん、これまでのシリーズをプレイしてきたファンには少々物足りない難易度かも知れないが、使用キャラの武器を最大レベルまで上昇させると、懐かしの三大名曲と共にダメージを食らうまでは最強状態の武器を使うことができる、という子憎らしい気の利いた要素があるために、いかにノーダメージでステージを突破できるかという、また違った楽しみ方ができるのも魅力。

自キャラの操作性も特にストレスなく動かせるレベルで、とにかくゲーム全体を通して隙のない丁寧な作り。やっぱコナミはこの頃が黄金期だったな…。


個人的感想と思ひ出

当時はSFC初代から]]までの間は完全にドラキュラシリーズの動向を未チェックだったので、当然の如くこの作品の存在を知ったのも発売された数年後である。

メガドラ自体は持っていたものの、大魔界村専用機と化していたので、他のゲームには全く関心なかったのがマズかった。

一度だけ中古屋で見かけたことがあった(しかも¥2980)が、その時はそれより「ぷよぷよ通」の方が欲しかったので見事にスルー。
そして次に気づいた頃にはプレミア価格。アディオス。人生最大の愚行。

そんなわけでプレイは諦めていたのだが、PCEと輪廻をセットで貸してくれた親切極まりない人がこちらもレンタルさせてくれた。貴方は命の恩人です。返さなくてもイイとは言ってくれなかったのが残念。

…で、ついにプレイすることができたわけだが、ここで既に書いたようにゲーム自体はヒジョーに高レベルな完成度で素晴らしかった……が、現在の市場で出回っているようなプレミア値段で買ってもイイと思う程の内容かと言われたら、正直ちょっと疑問である。

もちろんオススメ作品ではあるのだが、それはあくまで定価以内の範囲で入手できる場合のことであり、一万円以上払ってでもプレイする程に価値があるかどうかと尋ねられたら、プレミア価格で入手した方々には申し訳ないが、間違いなく否定させて頂く。
もちろん、定価以下なら即購入をオススメ。まずないと思うけど。


主要登場人物

ジョニー・モリス
ベルモンド一族の血を引く寡黙な青年。外見はアメフト選手みたいな逆三角形マッチョ体型。特技は鞭を使ったヒップアタック。意外にお茶目。

エリック・リカード
今作で唐突に現れた新キャラ。女性みたいな外見のせいで勘違いするプレイヤーが続出したという噂。「アルカードスピア」という、どーいう経緯で入手したのか不明な武器を使う。比較的ジョニーよりも使いやすいので人気。

ドラキュラ伯爵
今作は悪の親玉なのかどうかイマイチ不明。ラストで唐突に出現するが、一言も喋らずに消える。永遠の眠りについたと言われているが、IGA妄想世界においてはこの後に復活するらしい。

エリザベート・バートリー
ドラキュラの姪にあたる人物。説明書に載っているストーリーからは今作の黒幕と見受けられるが、これまたイマイチ不明の人物。なぜかメディウサに変身する。

ドロテア・ツェンテス
エリザベートの部下であり、共に今回の事件を勃発させた魔術師。だが、ラスボスのドラキュラ形態を倒すとようやく出現することから、実はコイツが今作の黒幕なのではないかと一部のファンの間では囁かれている。

死神
ドラキュラの側近。今作でもSFC初代と同様、ラスト直前のボスラッシュで登場。タロットカードを使って倒されたボスを召喚するイリュージョンを披露。ドラキュラが黒幕ぢゃないせいか、肝心の本人はあまり殺る気がない模様。

キンシー・モリス
ジョニーの父親。20年前に復活したドラキュラを倒しているが、ドラキュラと相討ちにでもなったのか、それとも妻と離婚するために愛人と駆け落ちでもしたのか、聖なる鞭バンパイアキラー欲しさに当時のベルモンドを毒殺した疑いで指名手配されて逃亡中なのか、詳しい理由は不明だがとりあえず今作には未登場。


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